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『シャーロック・ホームズに愛をこめて』刊行 ミステリー文学資料館監修

シャーロック・ホームズに愛をこめて 定価(648円+税) 英国の作家コナン・ドイルが生み出した名探偵シャーロック・ホームズの活躍する冒険譚は、世界中で支持を受けています。

 そのコナン・ドイル生誕150+1年を機に、彼を愛する日本人人気作家によるパロディ/パスティーシュを集めたのがこの一冊。

 7月には『シャーロック・ホームズに再び愛をこめて』と題する第2弾のアンソロジーも刊行が予定されています。

 第1弾は、おかげさまで売れ行きも好調とのこと。どうぞご一読ください。

『探偵小説の風景 トラフィック・コレクション』刊行 ミステリー文学資料館監修

探偵小説の風景 トラフィック・コレクション 上下共定価(648円+税) 資料館から新たに刊行された上・下2冊です。

 汽車、汽船、乗合バスなどさまざまな乗り物を、事件の舞台や小道具として取り入れた、戦前の懐かしい探偵小説の、個性的な短編を精選し、収録したのもです。

 現代のミステリーとは違う独特の探偵小説の魅力を伝えるものになっています。レトロな味わいをご堪能ください。

館内展示の「『新青年』の作家たち」もスタート

『新青年』の作家たち もう一つの開館10周年記念行事として企画された館内展示「『新青年』の作家たち」も10月17日からスタートしました。

 大正9年(1920年)1月、博文館から創刊された雑誌「新青年」は、戦前の江戸川乱歩、横溝正史、小栗虫太郎、夢野久作など数多くの探偵作家が活躍した雑誌として知られています。最初は若者の修養雑誌として編集されたこの雑誌はミステリーに詳しい編集長森下雨村の手で、次第に戦前の探偵作家の登竜門に生まれ変わって行きました。

 そこに発表された長編の名作の多くは戦後再刊され、短編も何冊ものアンソロジーに収録されています。そういうわけで、雑誌の名前はミステリー・ファンの間ではよく知られていますが、この雑誌は、現在では所蔵している図書館が限られており、たとえ所蔵していても、そのほとんどがマイクロフィルムでの閲覧しか認めていないので、現物を目にする機会は非常に限られています。

 ミステリー文学資料館では、特別コレクションとしてこの「新青年」400冊を極美本で所蔵するとともに、一部を1階の開架書棚に配置し来館者が手に取って読めるようにしていますが、今回の館内展示は、資料館のコレクションをもとに、当時の雰囲気を伝えるモダンな雑誌の表紙、探偵趣味の濃厚な挿絵などのほか、同誌に連載された小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』、横溝正史の『鬼火』などの初版本、また、同誌の編集長を務めた作家水谷準の日記などを展示しています。

 文字通り幻の雑誌でもある戦前の探偵小説雑誌「新青年」の魅力的な世界をどうぞお訪ねください。

 展示期間は来年の2月の13日までです。

開館10周年記念行事トーク&ディスカッション始まる

 開館記念イベントとして10月から11月にかけて毎週土曜日に9回連続で開催されるトーク&ディスカッション「『新青年』の作家たち」の第一弾「江戸川乱歩」が10月3日の午後、資料館地下会議室で開かれました。

 講師は名張市立図書館の『江戸川乱歩リファレンスブック』(3巻)を編纂した気鋭の江戸川乱歩研究者の中相作氏。

 当日は神奈川近代文学館で「大乱歩展」がオープンした日でもありましたが、予定どおり参加者で会場はいっぱいになりました。

トーク&ディスカッション 中氏は、乱歩が『幻影城』の「探偵小説の定義と類別」の中で、「探偵小説とは、主として犯罪に関する難解な秘密が、論理的に、徐々に解かれて行く径路の面白さを主眼とする文学である」としている点について、「難解な謎でなく、秘密となっているが、説明のところでは謎とも書いている。これはどうしたことか。最初から謎でも良かったのではないか」と問題を提起するとともに、「乱歩の処女短編『二銭銅貨』などを読んでも、これが探偵小説なのかどうか、と思うような側面がある。乱歩の『探偵小説四十年』は、ファンにとっては、いわば聖典のようなものだが、記憶違いなどもあって、けっこう誤りもある」と指摘、、会場からは、「二銭銅貨」の当時の受け取られ方などさまざまな質問や意見が出され、小研究会らしい雰囲気に包まれました。

島田荘司展・展示品変更のお知らせ その2

 7月9日のニュースで、「斜め屋敷」模型が8月7日に台湾での展示のため搬出される、とお伝えしましたが、模型の搬出のみ中止となりました。

 そのため、「斜め屋敷」模型は会期終了の8月29日までご覧いただけます。

 どうぞご来館ください。

島田荘司展・展示品変更のお知らせ

 ご好評を頂いている島田荘司展ですが、8月7日(金)に、以下の3点が、台湾で開催される島田展のために撤去されます。

 したがって、斜め屋敷模型その他をご覧になれるのは、搬出のための準備も含めて8月5日までとなります。

 どうぞそれまでにお越しください。

左から順に  斜め屋敷(「斜め屋敷の犯罪」)の模型(ふくやま文学館からの借用展示品) / 1975年、表紙絵を担当した雑誌「銀河」 / シンガーソングライター‘シマダソウジ’唯一のアルバム「LONELY MEN」の自筆ジャケットの原画

画期的な探偵雑誌の書誌、山前譲編『探偵雑誌目次総覧』

探偵雑誌目次総覧 昭和と大正の探偵小説に関心を持つ研究者、愛読者にとって実に便利で役に立つ雑誌の書誌が刊行されました。

 日外アソシエーツから出版された山前譲編、ミステリー文学資料館監修の『探偵雑誌目次総覧』です。

 これまで、戦前の探偵小説の作品や評論について調べようとしても、まず、雑誌や本が図書館などになかったり、かりに掲載誌がわかっても何年の何月号かわからなかったりということが多くありました。現在では、ミステリー文学資料館が戦前・戦後の有名な探偵雑誌・推理雑誌などを収集保存しており、また、さまざまな国公立図書館や大学図書館などでも、収集する動きが盛んになっています。そういうわけで、その時代の雰囲気を感じながら当時の雑誌を読むこともかなり可能になっています。しかし、どんな作家がどんな雑誌にいつ執筆したかについては、これまでは、1950年代に探偵小説年鑑に掲載された中島河太郎の「日本探偵小説総目録」、「探偵小説研究評論目録」くらいしか手がかりがありませんでした。

 その意味で、今回の『総覧』は実に便利な本です。「探偵趣味」、「ぷろふいる」、「探偵文学(シュピオ)」をはじめ「宝石」(岩谷書店)、「ロック」など戦前・戦後の有名な探偵・推理雑誌35誌約1,200冊の目次をすべて収録しており、それぞれが、どんな雑誌だったかについての解説、小説はもちろんのこと、評論、随筆、座談会などの内容細目もわかるようになっています。

 また、執筆者から雑誌名と掲載号を調べることも執筆者名索引で引けば簡単にわかります。

 探偵雑誌の目次を正確にこういう形で書誌学的にまとめることは、実は大変な労力が必要です。まず、これらの雑誌そのものがなかなか図書館などに所蔵されていないことで、ミステリー文学資料館にもない資料がたくさんあります。そのため、まず、当該雑誌のある場所を突き止め、それぞれの内容を実物で確認しなければなりません。その手間が本当に大変なのです。

 もう一つ、便利なのは、取り上げられている雑誌を資料館が所蔵しているかどうかが一目でわかるようになっている点です。

 これらの探偵・推理雑誌は公共図書館では所蔵していないことが多いので、まず、資料館にあるかどうかをチェックしてから他の図書館に当たる方が効率的ですが、この『総覧』のおかげで資料館になければ、例えば国会図書館や神奈川近代文学館、あるいは三康図書館などに当たるということが可能になりました。

 ただし、戦前の有名な雑誌「新青年」の目次はこの『総覧』には収録されていません。

 その最大の理由は、余りにもデータが膨大なためです。

 「新青年」に掲載されている作品については、『新青年傑作選5読物資料編』(立風書房、1970年)の中島河太郎「『新青年』所載作品総目録』や「新青年」研究会編の『新青年読本全一巻 昭和グラフティ』(1988年)」の「『新青年』全巻総目次」、『幻の探偵雑誌10「新青年」傑作選』(光文社文庫、2002年)の山前譲編「『新青年』作者別作品リスト」などを参照して頂きたいと思います。いずれも資料館で所蔵しております。

 『総覧』の編者山前譲氏は、ミステリー研究家で、文庫の解説やアンソロジーの編纂者として広く知られておりますが、特に書誌学的研究が専門で、2003年には、江戸川乱歩の蔵書に関する新保博久との共著『幻影の蔵』で日本推理作家協会賞を受賞しています。また、資料館の運営委員でもあります。

 海外には例えば、Michael.L.Cookの Mystery, Detective and Espionage Magazines(1983年)やAllen.J.Hubinの Crime Fiction A Conprehensive Bibliography 1749〜(1989〜)など有名な雑誌・単行本の書誌がありますが、この『総覧』もそれに劣らぬ優れた労作といえます。

 なお、この『総覧』約900ページ、定価は1万9千950円で、個人が購入するには値段が少々高いかも知れませんが、研究者には必携の書誌と思います。

 資料館にはレファレンスの棚に2部置いてありますので、是非手に取って、ご活用頂きたいと思います。(権田萬治)

笹沢左保氏全著作の寄贈を受ける

笹沢左保氏の遺影の前で、寄贈目録を授受する笹沢佐保子氏と光文シエラザード文化財団理事長並河良。

 さる10月21日に赤坂プリンスホテルで開かれた笹沢左保氏の7回忌のパーティーの席上、笹沢佐保子夫人から光文シエラザード文化財団の並河良理事長に対し、ミステリー文学資料館に笹沢左保氏の全著作(文庫本を含む)と遺品の一部を寄贈したいとして、その目録が手渡されましたが、12月3日、これらの資料がご自宅から資料館に搬入されました。資料館ではこれらの資料を特別コレクションとして大切に保存するとともに目録を作成して、利用者に役立てるため、作業を進めています。

『江戸川乱歩の推理教室』ミステリー文学資料館編

江戸川乱歩の推理教室 ミステリー小説の楽しさの一つに、「犯人当て」があります。

 本書は江戸川乱歩が関わった〈犯人当て小説企画〉からセレクトした短編を収録しています。

 木々高太郎、鮎川哲也、山村正夫、土屋隆夫、水谷準らミステリーの名手が作り上げた挑戦状に、ぜひみなさんも挑んでください。

 2009年1月には、続刊として、『江戸川乱歩の推理試験』の発刊が予定されています。そちらもまた、お楽しみに。

特別コレクションとして雑誌『新青年』を購入

新青年創刊号(大正9年1月) ミステリー文学資料館では、このほど、戦前の探偵小説の主要な発表舞台となった雑誌『新青年』の揃い全400冊を古書店から購入しました。『新青年』は、1920年(大正9年)1月から戦後の1950年(昭和25年)7月まで、400冊発行され、江戸川乱歩が処女短編の「二銭銅貨」を発表したのをはじめ、小酒井不木、小栗虫太郎、夢野久作、木々高太郎、横溝正史、大下宇陀児など戦前の日本を代表する探偵作家が優れた作品を執筆、また、多くの海外ミステリーを翻訳紹介したことで知られる雑誌です。しかし創刊されてから90年近い歳月を経た現在では、この雑誌が全冊が保存状態のいい形でほぼ揃いで見つかることはまず、ありません。

 資料館では、古書店などを探し、343冊そろいのものや、戦前から昭和15年までの222冊そろいのものなどがあることは確認しましたが、今回購入したものは、400冊の内、大正10年3月発行の第2巻第3号と同第2巻8号が欠号でコピーとなっていますが、残りは極めて保存状態のいい極美のもので揃っており、26ある付録の内21が付いています。

 国会図書館や神奈川近代文学館なども『新青年』は所蔵していますが、入館者はマイクロフィルムしか利用できませんし、付録はないようです。

 資料館では、1階開架書棚にすでに『新青年』を利用できるように並べてありますが、初期の発行分は、復刻版、また、その後の発行分はかなりのものが、表紙が取れたりしているなど、保存状態が余り良くなく、また、欠号が目立っていました。今回の特別コレクションの購入は、この空白を埋めるものですが、コピーなどによって破損、損傷などがひどくなる恐れがあるため、書庫内に保存し、館長の特別許可が出た場合にだけ、利用して頂くことになります。コピーや閲覧は原則としてこれまでの開架書棚にある資料をご利用頂きますが、研究・評論などでどうしても現物で確認したい場合などに、特別許可によりご利用頂ける道が開けることになったわけです。

 最後にお願いですが、欠号分の『新青年』をお持ちで、お譲り頂ける方が居られれば、どうぞ資料館にご一報ください。よろしくお願いします。

左から順に  大正12年第4巻5号 江戸川乱歩の「二銭銅貨」が掲載された新青年 / 昭和10年第16巻5号 多くの作家が活躍した頃 / 昭和19年第25巻1号 戦争中の新青年 / 戦後昭和25年の新青年(第31巻1号)

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